立場による見方の違い
新型コロナウィルスの影響でズームでのオンラインセミナーが盛況である。
今までなら月に1回のセミナーに参加するのも大変だったが、最近はあまりの手軽さと料金の安さに多いと週に6-7回参加している。
セミナーを開催する側も今までなら、会場の手配、懇親会の手配、チケットや先生方への依頼など大変だったが、オンラインセミナーだと、紙の案内状はいらないし、プログラムも簡単、担当される先生に、「少ししゃべって下さい。」と言うだけで出来てしまう。
会場での講演会だと担当者は事前に資料を準備する。しかし質問の内容によっては持参している資料だけでは対応出来ない場合もある。
しかし自宅でしゃべるとなると、何時も使っているパソコンには大抵の資料は入っているので、何を聞かれても答えられる。
時々しゃべっている先生の後ろで、お子さんが、「パパ、おしっこ。」と言うと、先生が子供に向かって、「部屋に入ってくるんじゃないと言ったろう。」そんな光景を見ながら講義を聞いている先生から「先生、まだお子さん小さいんですね。」とやっているが、なんとも微笑ましい。
そんな中、仕事柄どうしても整形外科のセミナーばかりに出てしまう。
普通ならなかなかお目にかかれない先生が、何人も講義してくださるので、これは新型コロナウィルスのお陰?と思ってしまう。
セミナーの後半でよくディスッションをするが、これが面白い。
例えば『難しい腰痛患者への治療』という議題に対して、手術ばかりやっている先生は、「腰の5番の横に圧迫があるからそこを開けて外せば良い。」と言うし、神経ブロックの先生は、「仙骨の横の所が問題です。リリースすれば効くんじゃないですか。」と言うし、理学療法士の先生は、「骨盤が前傾している。そのアラインメントを治せば良い。」と言うし、我々なら、「まずは胃を治し、腹筋力を上げ、足のバランスを取って」と言う話になってしまう。
1人の難しい腰痛患者に対してこれだけ意見が違う。
もちろん先生方には自分の専門分野があるから、そこを基準に考えるのだがここまで違うかと思ってしまう。
結局は山の登り方の違いと同じである。
どのコースから登るかだけであって、到達点は山頂(治癒)である。
ディスカッションを聞けば聞くほど、身体はどこか一ヶ所やられると必ず連動して他もおかしくなるということを感じる。
我々はそんな中、どの先生の治療法が1番かを競っている。
この争いは当分続く。