リハビリのコツは、あきらめながら希望を持ちながら

以前70代で脳出血をやった方が、よくリハビリで通われていた。少しきつい訓練をしようとすると、「俺なんかあと5年で80代。5年で良くなったあと死んじゃう。希望が持てないし、やる気も出ない。」と言っていた。そんな時は必ず、「リハビリのコツは、あきらめながら希望を持ちながら。」という話をする。脳出血で手足が動かないところは現代医学では治せない。やがてiPS細胞で治せる時代が来るかもしれないが、何年も先の話である。失ったものは「あきらめる」しかない。しかし残った機能はある。残存機能というが、そこを鍛え上げ、あたかも何事もなかったかのようにする事は出来る。だから、「あきらめながら希望を持ちながら」が大事である。今日来た交通事故の患者さんは肩の骨を折り、手術で繋いで戴いた。切ったところは神経・血管・筋膜など傷つけているから完全に元通りにはならない。少し血が行かない分、冷えていたり、感覚も弱い。しかしそれ以外の部分を鍛え、左右の肩の筋肉のバランスを取ることは出来る。ここをちゃんと伝えることが大事である。希望を捨てる必要は全くないが、目をつぶるところは出てくる。この相反する気持ちを抱えながらリハビリを続けるのがコツである。そんな話をしたら、「成る程、良くわかります。」と言っていた。