死に体

よく相撲で、「死に体(しにたい)」と言うが、姿勢のバランスが崩れた状態を表している。学校で強度と神経や筋の興奮性の関係で、「アルントシュルツの刺激法則」を習う。

  1. 弱い刺激をすることで神経機能を喚起し
  2. 中程度の刺激で神経機能を興奮させ
  3. 強い刺激は神経機能を抑制し
  4. 最強度の刺激で静止する

と言うものである。今日来た常連さんはかなり激務でストレスの反応点である腕が、「死に体」になっていた。アルントシュルツで言えば、4番である。適度な刺激なら身体は反応するが、度を超えてしまうと、身体がまるで死に体のようになってしまう。私も以前、ぎっくり腰の時に知り合いに治療してもらったら、思いのほか痛い。途中まで耐えていたが、ある瞬間から痛みにたして身体が反応しなくなってしまった。「死に体」である。こういう場合、筋肉が硬くならないので、今日はひどくないんだと思ってしまうと誤診する。酷いのを通り過ぎて、「死に体」まで行ってしまうと筋肉は硬くならない。これは初診で見抜くのは無理だが、経過を見ている患者さんなら分かる。何事も度を越すと反応しなくなるので、くれぐれも程々にしていただきたい。