いくらガンガンやっても取れない背中の痛み
常連さんが背中を痛みを訴えている。理由は夕食後テレビを見ながらソファーで寝てしまい、首や背中に負担をかけてしまったと言う。昔は背中のこりに対してこれでもかと強い刺激を与えればいいと思っていたが、あまり治療成績が良くなかった。鍼もより深く太くしても、残り2割程度がどうしても取れない。ある時、あまり変化しないので少しあきらめて別の場所を治療していたら、背中の硬さがなくなっていた。これには驚いて理由を考えた。おそらく背中は、「いくらそこが硬いからと言って同じ方法でただ強くしても駄目。周りの環境を良くしてくれればほぐれるのに・・・。」と言っているように感じた。それ以来、ある程度まで治療したら周りの環境改善に目を向けだしてからは治療成績が良い。世の中でも解決したい問題ばかりに目を向けると行き詰まってしまうが、少し視点を変えると突破口が見えるように、身体の中にも同じ仕組みがあると思う。それ以来少し気が楽になって、行き詰まったときは迷わず別の所に眼を向けるようにした。時には患者さんの主訴(1番辛い症状)を忘れ、別のことばかりやっていて、「そういうば1番辛かった○○はどうですか?」と思いだしたように聞くと、「え、○○?そうですよね。そこを治してもらうために来たんですよね。今は感じません。」とあっさり言われてしまう。どうもこの視点をずらすやり方が遠回りのようで最短かもしれないと思うようになってきた。