港区の坂

常連さんが少し膝にエアコンの風を当て続けたら、激痛で歩けなくなってしまったという。近くの整形で診てもらってレントゲンでは異常がなく、薬をもらったが、「安い整形の薬ではそんなに効かないだろう。」と飲まなかったという。その後すぐに来て、薬を見たら、普通のロキソニンという鎮痛薬ではなく、「ノイロトロピン」が処方されていた。患者さんにしてみたら、「ロキソニンとそんなに違わないだろう。」と思ったのだろうが、我々から見ると全く違う。ノイロトロピンは神経障害に特化した薬で、おそらく整形にはびっこを引きながら行ったのであろう。そして先生に、「歩けないんです!!!!」と悲愴な顔をして言ったのであろう。医者も同情して、良い薬を出して内心、「この薬はちゃんと効くはず。次回おみえになったときには『楽になったでしょう。』と言えるはず。」と思っていたと思う。まさか薬の値段が安いという理由で患者が飲まなかったとは思っていない。そんな事を話ながら治療していたら、やけに大腿四頭筋(太腿)が硬い。これは少しおかしいと思って話を聞いたら、「新型コロナウィルスの影響で旅行も出来なくなった。仕方がないので港区が出している港区の坂の情報を見て散歩をしている。港区は坂の町。最近はそればかり。」と言う。大腿四頭筋は以前から自覚が出ないと言い続けている。我々ら診たら坂の上り下りで、大腿四頭筋は硬くなる。それを続ければ坐骨神経痛を起こしやすくなる。エアコンの風はきっかけ程度で、本当の原因は、「港区の坂」である。人の人生、何処に「まさか」があるか分からない。