変形性股関節症と言われて
最近は変形性股関節症の方が多い。レントゲンやMRIを撮り、「あなたの足は変形性股関節症です。今は痛み止めの注射をして少し様子を診ますがやがては人工関節です。」と言われている方は多い。レントゲンを診て相当酷い骨の変形なら人工関節以外の選択肢がないので、時期を見て手術をすれば良いが、50-60代で少し無理をした時だけ痛みがあり、安静にすれば治る場合など、人工関節と言われてもピンとこない。最近はよく痛みの原因の考え方を「関節の中」か「関節の外」に分けて考えている。「関節の中で骨の問題」ならレントゲンやMRIで正確に経過が追える。しかし「関節の外」となるとレントゲンに写らないものばかりなので超音波を使う。最近はこの診断技術が飛躍的に上がっていて、私なども一生懸命講義を聞いて学んでいるが中々奥が深い。では「関節の外の問題」となると、「靱帯」「神経」「血管」「筋肉」「関節唇(かんせつしん)」などだが、これはどういう治療をしたら良いのだろうか。痛みが強ければ神経ブロックだが、ファシアリリースと言って膜同士の擦れ方を改善する目的で、生理食塩水を患部に注射し隙間を作る。又は関節鏡を使って周辺にこびりついている組織などを剥ぐ。いずれにしても技術の進歩のおかげで一昔前では考えられないぐらい治療成績が良い。昔は何でも「変形性股関節症」と言って一派一絡げで診ていたが、最近は「変形性股関節症」と言われても、「どうせ痛みに骨はそんなにかかわっていないでしょう。」と思ってしまう。我々から見ると「骨」よりも周辺の環境の方が気になってしまう。大腿四頭筋(太腿の前面)が硬かったり、腹圧が高い(便秘)などの改善で良くなる方は多い。変形性膝関節症でもそうだが周りの環境を整えるだけで良くなる方達をみていると、「変形性関節症の痛みにあまり骨は関係していないのじゃないか。」と最近強く思っている。