病気を教わりに行く気持ちで
右肩の治療で通っていた常連さんが、今度は左腕が辛いという。これはよくある事で、本当は両肩と腕に負担がかかっているのだが、1番辛い所が楽になると次に痛いところを感じるようになる。左腕を治療しながら、「少し前に赤いブツブツが出来たけど今は消えている」と言ったのでびっくりして、「ヘルペスウィルスかも?」とそれに関わる病気の説明をした。患者にしてみるとブツブツが残っていれば皮膚科に行くだろうが消えたので、「もう行かなくてもいいや」という気持ちになるのは分かる。しかしヘルペスは赤いブツブツが必ず出るとは限らない。症状を診て先生が、抗ウィルス剤を出すことはある。そんな時に患者が考えることは、「酷くもないのに、先生の手を煩わせては申し訳ない。」という気持ちだろう。しかし我々から見るとブツブツが消えたというだけの判断で、ほったらかしは困る。以前この方は突発性難聴を患ったが、たまたま身内で同じ病気の方から情報を得ていたので、早めの受診で難を逃れた。こうなるとやはり知識がものを言う。病院には、「病気を教わりに行く」気持ちで行けばいい。何でもなければ安心するし、意外な言葉が返ってきても学べる。この仕事をしていると、この患者にもう少し知識があればと思うことがよくある。この積み重ねで学んでいけば良い。