漏斗胸(ろうときょう)について

漏斗胸(ろうときょう)は聞き慣れない言葉でしょうが、胸の骨の一部が陥没している病気をいい、肋軟骨の変形が原因と言われています。下図の写真はCTで心臓の高さで切ったものですが、胸が大きく陥没しているのが分かると思います。初めに気づくのは乳幼児ですが、小学校、中学校に入ってから検診で指摘されることもあります。漏斗胸は男の子に多く、中には兄弟で発症する人もいますし、親子で見られる場合もあります。ある程度のへこみがあっても日常生活に支障がなく過ごせていれば治療を急ぐ必要はありません。胸が凹んでいるので心臓は圧迫されて影響を受けます。肺活量(10~20パーセント)が少なくなり、気管や気管支も狭くなり、空気の通りが悪くなることで気管支喘息のような症状を訴えることもあります。そして胸痛を訴える方もいます。運動をすると「疲れやすい」とか、「すぐに息が上がる」、「運動についていけない」という方もいます。次に心臓ですが凹みが強いと心臓が押されます。押された心臓は左に押しやられ、位置と形が変わるため心電図をみると異常が出やすくなります。心臓の圧迫の程度により心臓の弁に異常がでることもあります。

【治療法】
1.陰圧吸引療法(バキュームベル、ペクタスエッグ)-バキュームベルという吸引器を使う方法
2.Nuss法-金属のプレートを入れて陥凹を矯正する方法

【専門病院】
慶應義塾大学医学部 呼吸器外科
慈恵会医科大学附属病院 小児外科

お母様方はよく心配されますが、治療法は「保存(何もしない)で経過観察」「吸引療法」「Nuss法」のどれかになります。いずれにしても治せる病気ですので、専門病院(総合病院なら何処でも扱えるというわけではない)を受診されればご心配入りません。