とんちんかんな治療
昨日腰痛で来た方はやっている治療が何ともとんちんかんだった。
身体を診た途端、胃の反応点(スタマックライン)が強く出ていたので、腰痛の原因の一つは胃炎だとわかった。
話を聞くと、「逆流性食道炎があって医者の薬はちゃんと飲んでいます。」と言う。
薬を飲んでいるのはいいのだが、問題は薬を飲む時間。朝と昼の食事は軽いので、夜はしっかり食べてしまうと言う。
「では胃薬は夜、飲んでいるのですね?」と聞くと、「いえいえ昼です。他の薬を朝晩に飲むので、昼飲むしかありません。」と言う。「胃に一番負担がかかっている時に飲まないと効果は薄いと思いますよ。火事に例えれば煙が出てくすぶっている時間は何もしないで、煙が出ていない時間に水を撒くようなものです。それは医者に相談しましたか?」「いえいえ、病院に行くと2-3時間待たされるので、薬をもらうだけです。」「そういう場合は町医者で消化器の専門の先生に詳細なアドバイスをもらうといいですよ。」「え、担当医がいるのにいいのですか?」「いいですよ。大きな検査は今までの大きな病院にお願いするとしても、細かい症状は町医者が1番いいです。薬を飲んで効かなければ、変えてもらうとか増やすとか、まめに採血するとか、食事指導の話を聞くとか、そういう対応をしないとなかなか良くなりません。刺激物などは摂っていないですか?」「唐辛子など辛いものが好きです。」「え、唐辛子、それはダメです。刺激物を摂るだけでも腰痛の原因になります。逆流性食道炎は食べすぎや刺激物を控える事が基本です。刺激物で食欲が出てしまえば食べすぎてしまいます。」「そうなんです。いつも夜は食べすぎています。しかし医者から出た胃薬を飲んでいるから胃は大丈夫だと思っていました。」「気持ちは分かりますが、この腰痛は胃が原因と言ってもいいぐらいです。」「私は座り仕事なので腰が悪いとばかり思っていました。どうりで痛み止めを飲んでも効かないわけです。胃ですか?」「今回は少し腰の痛みが強いので鎮痛のために鍼を使いますが、これからは町医者で胃炎が治まるまで治療をして下さい。胃が治まればほぼ腰は良くなります。本人は胃のことをちゃんとやっているから胃は関係ないと思っていたでしょうけど、やっていることが何ともとんちんかんです。薬を飲むタイミングはおかしいし、食べ物は次から次へと入ってくるしで、胃は根を上げて腰に痛みを出しているのです。早く気がついてと言っています。」「そうだったのですか。分かりませんでした。」同じ悩みを持っている方は多いのではないだろうか。