按摩泣かせ-2

今日新患で来た方は典型的な「按摩泣かせ」である。細身の女性で典型的な小鳥タイプ。見ただけで「今まで太ったことがないでしょう。喉が弱いでしょう。納得のいく治療を受けたことがないでしょう。粘膜弱いでしょう。」と言ってしまった。では何が難しいのかであるが、「ここからこの範囲に刺激量を入れなければならない」ということである。普通の人が1~100の刺激量(100の刺激量が強いとして)で大体、30~80の範囲に入っていれば大体満足される。しかしこの特殊な小鳥タイプの方は、78~81の範囲の刺激しか受け付けない。すべての刺激をこの範囲の中に入れなければならない。少しでも弱いと全く効かないし、ほんの少し強くやれば痛くて後々つらくなってしまう。だから治療家が、「強ければ言って下さい。弱ければ言って下さい。」と言っても、治療の間中ずーっと「弱い、痛い」と言い続けなければならない。結局患者が言わなくなってしまう。こう言う方はおそらく30人ぐらいの先生にやって頂いてようやく合う先生が見つけられるレベルである。普通なら10人に1人はいるのに、探すだけでも大変である。私も今まで何十万人治療したかわからないが、5本の指に入る難しさである。端から見ると細身の女性の治療は楽に見えるだろうが実は難しい。端から見るとお相撲さんが1番大変と思っているだろうが、お相撲さんは1番楽である。何処に鍼を打っても効く。ツボがずれていても効く。打ち過ぎても問題はないし、少しでも効く。同じ治療でも効く。変えても効く。とにかく何をやっても効く。こんな楽な患者はいない。