内転筋の鍛え方

日舞の方膝痛でよく通っていて、「少し内転筋を鍛えようと思ってストレッチで内股を伸ばしています。」と言う。我々から見るとストレッチしても鍛えられるわけではない。ではどんなやり方が良いのだろうか。若い時にスポーツの心得のある方なら、レッグマジックなどはお薦めである。しかしこれはやり過ぎると炎症が起きてしまい万人向けではない。日舞ぐらいの方ならゴムボールを内股に挟み、両足で少しつぶすぐらいの筋トレがいい。以前もある社長が、「俺のゴルフが飛ばないのは内転筋だとわかった。どう鍛えたらいいんだ。」と聞くので、ゴムボールを勧めたら1週間か10日して酷い内転筋の炎症で来た。聞かなくてもやり過ぎと分かる。どんなボールを使ったか聞いたら、「少し堅めのでかなり力を入れないとへこまない。」と言う。当院で指導しているのは簡単にへこむゴムボールで、やりながら少し物足りないのではと思うぐらいのものがいい。それを時間のあるときにテレビを見ながらでも良いし、日に何回もやればいい。内転筋は普段鍛えることが少ないから、気合いを入れたりして集中的にやると必ず痛める。早く内転筋力をつけたい気持ちは分かるが、2-3ヶ月かけてやった方がいい。患者さんに、「あなたの踊りの技術、1ヶ月特訓するから指導してくれ。」と言われたな何と言いますかと聞いたら、「そんなの無理。時間がかかるもの。」と言うという。内転筋も同じである。足の前後の筋肉なら普段から使っているが、内転筋はあまり出番がない。だから余計にゆっくり休みながら優しくやる必要がある。気持ちばかり焦り、「内転筋さえつけば・・・」という方は必ず壊す。そんな方ばかりを診てきて、学校で習ったアルントシュルツの刺激法則(弱い刺激をすることで神経機能を喚起し、中程度の刺激で神経機能を興奮させ、強い刺激は神経機能を抑制し、最強度の刺激で静止するという法則)を思い出した。「筋肉は使わなければ衰え、適度に使うと現状維持、少し負荷をかければ鍛えられ、使いすぎれば壊れる。」この少しの負荷を通り過ぎて使いすぎの方ばかり来る。こういう時に気合いはいらない。