卒後教育

昨晩は日本整形内科学研究会の副会長の銭田良博先生にお越し頂き、鍼灸師が国家試験を取得したあとの卒後教育に関して色々とご指導を頂いた。我々の時代は「うちの鍼灸学校に入れば国家試験合格率100%」とやっていたが、最近は鍼灸の免許を取っても就職や開業が難しく中々食べられないという事が段々知れ渡り学校が、「うちの学校を出れば就職率75%」とやっている。以前学会で大学で鍼灸を教えている医者が、「田中君、俺悩みがあるんだ。大学の先生をやっているから生徒には教えればいいのだけど、卒業生の開業率が1%でさすがにこれは気になる。」と言っていた。コンビニも歯医者も鍼灸・マッサージもいくらでもある時代、鍼灸の技術だけで食べられる人は少ない。今まで私も何人も食べられない先生方の面接をしてきたから良くわかる。銭田先生が、「卒後教育をしていくのに何が大事だと思います?」と聞かれたので、「先生もご指摘の通り、ある程度の経営の勉強は必要だと思います。後は人相手の仕事なので、『人の心のひだ』というか、感性は大事だと思います。例えば2人の先生がいて、A先生の技術は90点、B先生の技術は70点、普通考えればA先生の治療院が流行りますが、現実はそうはなりません。A先生がぶっきらぼうだったり、患者の話を聞かなかったりして、B先生がとても細やかで、触り方が丁寧、扱い方が優しく、治療院の雰囲気が良ければ多少技術は下でも患者心理としたら、B先生の所に行ってしまうと思います。患者はちょっとした気遣いにも敏感に反応します。そんな『人の心のひだ』の教育は大事だと思います。最近は医者でも人間関係が苦手な先生がいるみたいですが、人相手の仕事ですから適性には疑問が残ります。プロですから技術を高めるのは当たり前で、人柄が良いというか人を大事にする姿勢や態度がにじみ出ている先生がいいと思います。」と答えたら、「本当にそう思います。今後の教育に活かさせて頂きます。」という言葉を頂いた。