治療は芸術
新春の始めのブログなので、少し芸術の話をしたい。
仕事柄患者さんの痛みや不具合いを治せば良いのだが、この仕事にはもうひとつの側面がある。
それは「治療は芸術」ということだ。
どういうことかというと、例えば肩の痛み一つ取っても薬や注射で治す方法はあるが、マッサージと鍼を好む方もいる。
何故なのかと考えると、おそらく我々の治療に何とも言えないぬくもりや優しさ、温かさを感じているのではないだろうか。
芸術と言えば絵でも音楽でも、原材料は絵の具とドレミで全て同じである。
しかし作品となると無限の広がりがあり、見たり聞いたりした人の人生を変えることもある。
我々も患者の身体というキャンバスに絵を描いているようなものである。
治療法などは無限にあり、正解などはない。
先生によって治療法はことごとく違い、受けた患者だけがその良さを知っている。
こうなるともう芸術と言わざるをえない。
以前勤めていたところに先輩で売れっ子の先生がいた。
私などはペーペーで稽古もつけてもらえない。
たまたまその先生が暇で稽古をお願いしたら、「お前少し横になれ」と言われ、足の裏を先生がほんの数秒押してくれた。押された瞬間身体に電気が走り、脳まで突き抜けた。こんな感覚は初めてで今でも鮮明にその感覚が蘇る。道に迷った方が素晴らしい絵画や音楽に出会い道の向こうに希望が見えた瞬間である。今まで似たような治療は受けたことはあるが、あの感覚を再現した先生に出会ったことはない。
素晴らしい芸術は人の運命を変える力を持っている。
我々も努力をしながら又この1年、芸術性を高めるために精進したい。