年寄りは段々子供に返る

親がそこそこの年になると子供を頼ることがよくある。一緒に買い物に行ったり、病院に付き添ったり、ご飯の支度をしてあげたりと手間がかかる。自分もそれだけの手間をかけて頂いて大きくなったのだけど、あまりに色々と言われると身内だけに頭にくることもある。特に母と娘の場合、娘は母親に対して容赦がない。「お母さん、何グスグスしているの?早くして」「だって腰が痛くてすぐには動けない。あなただって私の年になればこの気持ちは分かるわよ。」「そんな事はいいから早くして・・・」こんな会話はよく聞こえてくる。子供にとって親は何時までも凛々しく元気で頂きたいが、流石に80才を超えると生きているだけでも大変である。今まで弱音を吐かなかった親でも愚痴が出る。場合によってはそそうをしたり、ご飯はこぼすし、動きも遅くなる。子供に返るのである。赤ちゃんがご飯をこぼしても文句は言わないだろうし、おしめも取り替える。本当に子供みたいと思えば、腹も立たない。今まで生きてきただけで宝物のような存在である。そしてよく親の愚痴を聞いておくと勉強になる。年寄りは嘘は言わないから、「最近は全くご飯が食べられない。」「ベッドから起き上がるときに手すりがないと立てない。」「1日買い物をすると翌日は休まないと疲れる。」「少し食べすぎたら3日も腹痛が続いた。」「この空咳、全然治らない。」「座りっぱなしでも腰が痛い。」「膝が痛くなるとすぐに腰まで来る。」挙げればキリがないが、やがて娘さんも同じ事を体験する。親の面倒を見るときは、親の愚痴のお陰で将来自分は少し楽を出来ると思い、子供を見るように宝物扱いするとよい。しゃくに障ることもあるだろうが、全て自分に返ってくる。歴史は繰り返すではないが、親にした事は娘からもされる。