鬱病治療のコツ
年配の常連さんが去年から少し精神的に落ち着かないという。たまたま「少し肩でも揉めば良くなるかも」と当院を思い出し、久しぶりに来られた。話を聞いた途端、鬱病を疑ったので、「すぐ医者に行きなさい」と話をしたが、「薬ですか?薬で治るのですか?」と聞かれた。なので「とにかく早く処置しなさい」と伝えたが、担当の医者が若すぎて頼りないという。「頼りなくてもいいから先生の指示に従いなさい。初期は効く人が多いから」とまた話をした。有り難いことに薬を飲んでいくうちに段々と不安が減ってきたという。今日2ヶ月ぶりぐらいにおみえになり、「今は去年のように朝、変な頭が回ることはなくなった」と言うので、1度全身を調べたら殆ど問題はない。人間の身体にストレスをかけると末端が硬くなる。去年は末端が硬くてすぐ医者に行くことを薦めたが今日は硬くない。これは大分調子が良い事を意味する。「良くなっても自己判断で薬を勝手にやめて悪化した方が今まで何人かいました。」と言ったら、「医者からはもう少し続けなさいと言われた」と言う。良くなったと言っても「心が晴天」になっているわけではない。去年みたいに「雨降り」でなく、「曇天」である。本人は、「まだ晴天ではない」と言うかもしれないが、我々から見たら、「雨が降っていないのだからいいじゃない。やがて少しずつ曇天が晴天に近づくから大丈夫」と言いたい。精神的に弱い時はまるで心に棘が刺さったように言葉がひっかかる。良くなると少し流せるようになる。棘が抜けたような感覚だ。この差は大きい。時間の経過を診ていると、初期で治療した場合はおおよそ3ヶ月で良くなり、6ヶ月目にはほぼ問題はなくなる人が多い。しかし少しおかしいと感じても半年ぐらいほったらかしで、どうにもならなくなってくる方は治癒まで2年ぐらいかかってしまう。この差は大きい。たまたま「少し肩でも揉めば・・・」と思ってくれたお陰で早く治ったが、世の中には何も治療せずに、心に雨が降っている方は多い。身体からのアプローチや投薬など今はいくらでも対応出来る時代になった。