本当の医療
知り合いの歯医者さんがセミナーで、「本当の医療とは」という題で講義をされた。
興味が湧いて話を聞いていたら、「歯科治療は今まで大学で教わり、卒業後は凄いという先生の講義を世界中に聞きに行って学んだ。しかし治療をしても最後はインプラントみたいな形になってしまう。何が問題か調べたら、患者の歯肉の状態を無視して審美歯科のようにただ美しく整えるだけを治療だと思っている。しかし本来はアフリカの原住民や動物などは歯の治療を受けていない。身体が元気であれば歯の状態も良く、寿命まで生きられあとはピンピンコロリで逝ける。これが一番幸せ。本人の細胞の健康状態を無視したらそんなのは治療ではない。そこをちゃんと治療してあげるのが本当の医療。それに気がついてから、もう長い患者で45年ぐらい診ているが、皆歯肉の状態、本人の細胞のレベルも高い。まだまだこういう医療は少ないが、私はもう年なので少しでも多くの方にこれをちゃんと伝えたい。」と言う。
これには唸ってしまった。
専門の先生方の中には長年の研究でたどり着いた領域がある。そういう先生方の講義を聞いていつも感じるのは、「人に優しく、妥協しない医療」である。
その答えは常に身体全体のことを考え、自分の専門の狭い範囲だけ治せば良いというものではない。ご自分の専門分野を超えて病気だけを診るのではなく、その方の心と身体の1番いい状態を目指している。
中々本当の医療は少ないが、やがて歯医者に行って、「先生、歯を綺麗にして頂くのは有り難いのですが、私の歯肉の状態はどうでしょうか?」と患者が問い、歯医者も「もちろん大丈夫です。あなたの全身状態も考えていますから。」という会話が出来る日が来ることを楽しみにしている。