進化する治療

指を骨折した常連さんが、医者に言われた通り頑張って曲げ伸ばしのリハをしたら、指が腫れて熱を持ち調子が悪いという。先生に何と言われたのか聞いたら、「固定ばかりだと動かなくなるから頑張って動かして」と言われたと言う。
この話を聞きながら、「50代ぐらいの先生?」と聞いたら、「大体そうです。」と言う。
骨折一つ取っても先生の年代で指導の内容が違う。

70代の先生なら、「骨がちゃんとくっついてからリハをしてね」
50代の先生なら、「リハが遅れると動きが悪くなるから、ある程度自分でも頑張ってやってね」
30代の先生なら、「固定が○○週間、2週間過ぎたら、△△のリハを自分で日に5回程度やって」

と微妙に指導の内容が違う。
昔は骨折は固定が定番だった。しかしあまり固定しすぎるとその後のリハに影響があり、完治までの道のりが遠くなってしまう。完全に骨がくっついていなくても、リハを始める考え方が出てきて結果リハの成績もいい。基本的には、「骨折の治癒に王道なし」である程度の時間をかけなくては骨はくっつかないが、やがては振動や音波、軟部組織修復薬のようなものが出来て、驚くほど早く治せる時代が来るのはそんなに遠くはない。
皆さんは骨折というと骨ばかりに眼がいくが、我々は周辺の軟部組織のことが気になってしまう。
骨を包んでいる膜や筋肉の膜や血管にリンパ、静脈還流、神経のダメージ具合などである。リハも決して骨だけが問題ではない。周辺の軟部組織もよくしないと完治はない。時代と共に新しい知見で治療法が劇的に変化していく中、先生の年代別に骨折一つ取っても指導の内容が変わるのはとても興味深い。