当ててもらいたい患者心理
常連さんの身体がいつもと違う。何があったのか聞いたら、「いや、特別に何ということはなく・・・」と言う。全身細かく調べるといつもは反応のない太腿や背中が硬い。これは頻繁に立ったり座ったりを意味する。「引越しをやった人みたいなこりですが・・・」と言うと、「少し子供部屋の改装を・・・」と言う。「じゃ、座ったまま作業したり、ダンボールを持ったりしたのですね・・・」「え、まぁ」「それで脚や背中がこんなこりになっていたのですね」「やはりそうでしたか」「え、やはりそうだった?ご自分でもわかっていたのでは?」「まぁ、そうなんですけど確信がなくて・・・」こちらにしてみると、「今回は色々と普段やらないことをやった。」と言われれば、それに関連したところをまず診るのですが、何も情報化がないところからそこまでたどり着くのは結構大変で、「わかっていたなら教えて」と言いたくなってしまう。先日もいつもより腰痛が悪化した方が来た。「こんな状態になるのは余程冷やさないとこうはなりません」と言ったら、「そうなんです。冷房が効きすぎているのです」と言われ、「わかっているなら言って下さい」と言いたくなった。どうも患者心理として、「え、私の身体は今そんなになっているの?やはり原因はあれかと思ったけど、やはりそうだったかぁ。納得した。」と当ててもらいたい心理があるのではないだろうか。思い当たる原因を言ってもらえば、こちらは消去法で簡単に言えるのだが、「やはりそうだったかぁ」と納得したいようである。この心理がある限り、我々は膨大な原因から絞り込む作業が必要になる。当分この作業はなくなりそうにない。