庭いじりと腰痛

年配の方が右坐骨神経痛が治らないという。話を聞くと庭いじりが好きで、毎日植木の手入れに時間が取られるという。実はこういう患者は多くて皆言うことは同じである。「ホームセンターに行って新しい花を見るとつい買ってしまう。自宅で育てて大きくなり花が咲くと人に見せたくなる。毎日ちょっとやろうと思うが、気がつくと2-3時間経っている。その後腰が痛くなる。しかし翌日になると新しく花が咲き、腰痛を忘れる。出来れば一年中花が咲くようにしたい。」この話を聞いただけで、もうこの方の腰痛は治らないことがわかる。1番困るのは人様に見せて、「あら素敵。これ育てたの?」「え、苗から買ってうちで育って、こんなに大きな花が咲いた。」と褒められたらもうおしまい。植木から逃れられない。そうなると夏など水やりに朝晩2時間ずつ。ホームセンターに行って新しい土を買って、時間があれば草むしり。頭の中は綺麗な花のことばかり。咲いたらお友達を呼びたい。これでは腰は根を上げる。ではどうするかであるが、このまま続ければ、庭を取るか腰を取るかの話になる。若い方ならいいが、80才を超えたら、このペースで庭をいじって腰が良くなるわけがない。答えは、「庭は葉ものだけにして、自宅は切り花だけ」これしか答えはない。庭の花はほったらかしにするか、誰かに持っていってもらうなどで減らす。葉ものだけならある程度ほったらかしでも何とかなる。切り花は必ず枯れるので、新しいのを買えば良い。これぐらいやらないと坐骨神経痛は治らない。庭いじりが楽しいのはわかるのだが、植物の成長と共にこちらの身体に負担がかかるのが困る。この話、身につまされている年配者は多いと思う。