鍛錬(たんれん)
最近はZoomセミナーのお陰で、今まで中々勉強できなかった分野の講義も聞いている。
そんな時、ある重鎮の先生から「鍛錬(たんれん)」の話が出た。
鍛錬の話は宮本武蔵の「五輪書(ごりんのしょ)」に出てくる。
宮本武蔵は戦国時代を浪人として生き、晩年は熊本にて細川家につかえた、実在した剣の達人である。
「千日の稽古をもって鍛となし、万日の稽古をもって錬となす」
この千日であるが約3年、「石の上にも3年」と言うが、何かを身につけて人の役に立とうと思ったら、それくらいやらないと役には立たない。
万日であるが約30年。これだけやれば道を極められる。
という内容のお話を頂いた。
これには成る程と唸った。
最近我々の世界で超音波診断装置を使い、身体の中のを診て、病態を理解して、治療をしようとする動きが盛んである。
当院にも超音波診断装置は設置してあるが、これが実にわかりにくい。
あまりにわかりにくいので、設置当時にベテランの麻酔科の先生に相談したら、「3年もやるとある日突然見えてくる」と教えて戴いた。
当院でもようやく3年ほど経ち、先生の言われた意味が少しわかりだしてきた。
まさにこれは「鍛」である。
Bi-Digital O-Ring Testは学んで、ほぼ30年経つ。
これは「錬」である。
仕事自体は40年経つので、これも「錬」である。
最近よくブログに書くが、お陰様で仕事の悩みが殆どない。
治らない患者を何処に紹介すればいいかが分かっているし、自分の実力も把握している。
この世にどんな治療法があり、現代医学でどこまでできるかも理解している。
40年やって「錬」まで来ると生きるのがとても楽である。
最近、若い方が仕事で3年務めたらすぐ転職するみたいな話を聞くが、3年では見えない世界がある。
昔に比べて寿命が延びた分、「錬」が2回味わえる人生が送れるではないかと思ってしまう。