お粥と手すり

常連さんの義理のお父様が96才で最近お粥を食べているという。「お粥は胃に良いと言いますが、我々から見ると体力をなくしてしまいます。」と言ったら、「え、身体に良いのではないのですか?そういうえば、やけに声に張りがなかった・・・・」「ある程度年をとっても、できるならちゃんとご飯を食べて咀嚼して、唾液が出ればそれが胃腸への刺激になります。そして声は実によく体調を表します。我々は声の張りだけである程度その方の体調を判断できます。年配のご婦人でよくしゃべる人は皆元気でしょう。しゃべるとお腹がすくのでよく食べます。そういう方はお粥を食べたいと言いませんよ。特に舌は人の身体の中で運動量は最大です。動けば動くだけ脳の血流が良くなることはわかっています。お粥を食べるなとは言いませんが、出来るなら普段の食事を少量ゆっくり食べるのがいいです。お粥だけ食べて元気にはなりません。お粥だけ食べて腸の機能が落ちれば、腹圧が上がってしまい心肺機能が落ち、頭への血行不良が起こります。こういう事はよく入院中に起こります。転んで股関節などを折ると、寝たきりになってしまい、お腹だけ膨れて便秘を起こす。そういう患者さんを多く診ていると兎に角転ぶことが怖い。だから最近私は、駅など必ず手すりを使います。もちろん使わなくても走ったり出来ますが、スマホをやっている人がいきなりぶつかって来ることもあるので怖いです。ある程度の年令になると、ちょっと転んだだけで簡単に骨折します。胃腸の機能低下はお粥や入院しているだけでも起こります。これは誰にも起こります。」と話したら、「知らなかった。これからは手すりは使うことにします。」と言っていた。