挑戦とゆとり

例えば膝を痛めた場合、皆さんは、「サポーターをして楽だから、少し負担をかけてみよう」という感覚を持っている。
少し負担をかけて楽ならもっと負担をかける。痛みを感じるまでかけてみる。痛みが出れば、止める。
サポーターをしてるのだからと限界までやってしまう、又やりたくなる。
この感覚はどこから来るのだろうか?
おそらく、「挑戦」ということが身についているからであろう。
勉強でもスポーツでも仕事でも、何でも「挑戦」である。
しかし身体に関してはこの挑戦は困る。
手術後、痛みが治りきっていないのに、挑戦して痛みをこじらしてしまうケースは多い。
そうなると、「こんなになるとは思わなかった」と患者は必ず言う。
リハビリでも○○が出来た喜びはよく聞く。
膝の手術の後、階段の上り下りが出来た喜びである。
これは挑戦して出来た喜びなのだが、我々から見ると「出来た喜びより、終わった後に痛みが出ないこと」の方が遙かに大事である。
これは身体にゆとりがないとできない。
身体に痛みがあり、マイナスの状況でよく通っている方に、「治療してマイナスをゼロにしてから、そこからが本当に治療。身体に貯金があれば、ある程度無理をしても痛くならない。これが身体の幸福。」と毎回言っているが、「挑戦」ばかりに目がいき、中々「ゆとり」を味わえる方は少ない。
友だちと旅行に行って色々な所を歩き回り、ホテルに戻り、自分だけどこも痛くない、これに勝る幸福はない。