優しさを伝えるケア「ユマニチュード」

介護のブログを書いたら、患者さんから思いのほか情報が集まった。フランス在住の方から、「フランスにはユマニチュードっていうメソッドがある」と教えて戴き、調べたらもう報道番組で取り上げられていた。

■ユマニチュードとは
ユマニチュードはフランスの二人の体育学の専門家イヴ・ジネストとロゼット・マレスコッティが開発したケアの技法です。ケアの現場で彼らがまず気がついたのは、専門職が「何でもやってあげている」ということでした。たとえば、立てる力があるのに寝たままで清拭をしたり、歩く能力のある人にも車椅子での移動を勧めたり、といったことです。二人は本人が持っている能力をできる限り使ってもらうことで、その人の健康を向上させたり、維持することができると考え、「その人のもつ能力を奪わない」ための様々な工夫を重ねながら現場でケアを実践していきました。認知機能が低下し、身体的にも脆弱な高齢者の方々に対してケアを行う時、ある時は穏やかにケアを受け入れてもらえるのに、別の時は激しく拒絶されることがあります。その原因を考え続けた二人は、ケアがうまくいく時といかない時には「見る方法」「話す方法」「触れる方法」が違っていることに気がつきました。さらに、人は「立つ」ことによって、生理学的な効果のみならず、その人らしさ、つまりその尊厳が保たれることから、この4つの要素「見る」「話す」「触れる」「立つ」を「ケアの4つの柱」と名付けました。そして、ケアを一つの物語のように一連の手順で完成させる「ケアの5つのステップ」で構成するケア・コミュニケーション技法を編み出しました。特筆すべきは、ユマニチュードは理論が先行したのではなく、初めてケアの現場に赴いた1979年から現在までの現場での幾多の失敗から誕生したものだということです。