胃薬でぎっくり腰

2-3年前に、ぎっくり腰で来た方に、「あなたのぎっくり腰は胃炎が原因です。」と伝え、その後医者から胃薬をもらってすっかり腰は良くなったと言う。しかしその後胃薬を2-3年飲み続け、今度は胃が苦しくなって薬を自分で判断してやめたら楽になったので、そのままにしておいたという。そうなると今度は胃が又悪くなり、ぎっくり腰をやってしまったという。何とも悩まして話だが、胃薬も毎回義務のように飲まなければいけないものなのか、必要な時だけでいいのか、中々判断が難しい。我々の感覚では、「辛い時に薬の力を借りる」という感覚がある。しかし患者は、「飲むか」「飲まないか」の二択で聞いてくる。なんでもそうだが、さじ加減が大事である。「いつも傘は持っているが、雨が降っているときだけ傘をさせば良い」とこんな感覚である。この患者の胃炎は逆流性食道炎である。逆流性食道炎なら少し食べる量を減らし、その分、食事回数を増やす。一辺にドカッと食べるから食道に逆流もしやすくなる。逆流性食道炎は治る病気ではないが、ちょっとした食生活の工夫で楽になる。そして少し調子の悪いときに薬の力を借りる。こんな感覚で胃を守れば、ぎっくり腰はかなり防げた。