ここが落とし穴-傷口を消毒しない?

昔はよく傷口に赤チンを塗っていた。
病院勤務時代に東大の医者が赤チンが好きで、何でも赤チンだった。
父親も赤チンが大好きで、金魚が皮膚病になっても赤チンを塗っていた。
しかし赤チンに水銀問題があることがわかり、無色でしみない「マキロン」が家庭の常備薬になった。
さらに最近は少し傷に対しての治療法が変わってきた。
傷口に赤チンを塗ってしまうと砂利や異物があるのかわからないし、どの程度の出血なのかもわからない。
この「傷口を消毒するか、しないか」は学会でももめていて、消毒派の先生は「感染したらどうするのだ」と主張するし、消毒反対の先生は「今まで感染例はなく、消毒液で細胞が攻撃されて回復が悪くなる」と言い返す。
最近は、「患部は清潔な水で洗い流し異物は取り除き、患部を乾燥させない湿潤療法」が標準治療になってきた。
昔は良くかさぶたが出来ていたが、あれは仕方なく作っているので、そのかさぶたの下では新しい皮膚の細胞を作っている。
からかさぶたが出来ないように、傷口から出てくる浸出液を使って湿った環境が綺麗に治るコツとわかってきた。
傷口から出るあのジュクジュクの中に、「細胞成長因子」が含まれていて、「最高の細胞培養液」と言う事がわかってきた。
市販では「キズパワーパッド」が売られている。
傷口は乾燥させたら細胞は死ぬし、消毒したら組織が破壊されてしまうことがわかってきた。
今までの「傷口を消毒して乾かす」から「傷口を消毒しないで乾かさない」とまた治療法が真逆になってしまった。