ロキソニンと手術

股関節の手術を2ヶ月後に控えている方が、痛みのため毎日ロキソニンを飲んでしまうと言う。手術の担当医から、「ロキソニンはやめて杖にしなさい」と指導されているが、全くその通りだと思う。患者からすると、「あと2ヶ月なんだからロキソニンでしのぎたい」という気持ちは分かるが、一つ困った事がある。それはロキソニンを飲み続けたために起こる胃炎である。手術の時に胃炎がある人とない人では、術後の回復がまるで違う。我々にしたら、「杖をつけばそんなに痛まないのだから嫌がらずに使い、ロキソニンは最低限にして胃を守り、術後良い形でリハビリに入りたい」と思っているが、患者は、「杖なんか格好が悪い。余り自分が股関節が悪いのを知られたくない。ロキソニンを飲んでいれば何の問題もないのだから・・・」と中々我々と噛み合わない。術後の患者は良く診るが、胃腸障害のあるなしで全く成績が違う。普段便秘の方が、術後便秘が酷くなっただけで、リハビリの成績が落ちる。身体を動かすのにどれだけ胃腸の機能が大事かを我々は身にしみている。ロキソニンは気軽に飲めて筋肉や神経痛にはスグレモノだが、鎮痛剤や抗生剤は概して胃を痛める。手術の準備として胃を守る事はとても大事な項目である。