難有って有り難し
「難有って有り難し」は師匠から教わりました。人が生きていく中で、何も難がないにこしたことはありませんが、そうは生きられません。難が有るからこそ、今まで気がつけなかったことに気がつけたり、物事の深い意味を知るようになります。20年近く通っている慢性腰痛の常連さんが去年全身激痛に襲われ、どうにもならないので整形外科で2ヶ所調べたところ、「五十肩と腰痛でしょう。鎮痛剤を出しますから、肩は動かして下さい。」と言われたが、益々酷くなるので、内科の先生に相談したら、「血液で少しリウマチが引っかかります。専門病院を紹介します。」ということになり、調べたらリウマチだった。その後はステロイドで順調に痛みが取れ、今までより調子が良いという。こうなると今までの十数年は何だったのという事になってしまう。「整形は何箇所も行っているのだから判りそうなものだけど・・・」と言うので、「気持ちは分かりますが、整形で採血とリウマチは普通は調べません。整形の先生にリウマチだったと言えば、『え、そうだったの』で終わりだと思います。大事なのは去年激痛に襲われたことが有り難いのです。家に例えれば、シロアリにどんどん蝕まれていてもおそらく気がつかないでしょう。ある時その家に、トラックが突っ込んできて、壁と柱を壊したとします。そうすればシロアリに気がつくでしょう。トラックが突っ込んだことがいいとは言いませんが、そういう難が有ってこそ、シロアリに気がつく。シロアリに気がつけば、柱を交換したり、駆除したり、手を打って快適に過ごせるわけです。気がつかなければ何となく建て付けが悪いとか、柱が曲がっているで終わりです。何事も難あって有り難しです。」と話したら、「本当にそうですね。これから失った十年を取り返せば良いですね。」と言っていた。