本人の気持ちと身体の現状
会計の仕事をしている人が激務で通っている。自覚症状の出ない腕がこったり、頭を使う分、こめかみが辛いという。たまたま休みを使って子供を連れ、高尾山に登ったら、子供が大喜びでまた行ってきたという。本人は激務は変わらないし、登山までしてしまったものだから、昨日来て、「かなり今日は悪い。」と自己申告してきた。しかし身体を診たら全く逆のことが起こっている。自覚の出ない腕は硬くないし、山登りした割りには足もいつもよりいい。これはとても良く経験することで、デスクワークで足に負担がかかっている人が、登山などして適度な筋肉痛を起こすと、筋肉痛が時間と共に回復する過程で足も良くなってしまうことはよくある。それも2回も登山したものだから、ほぼ今までで1番いいぐらいに足には問題がない。次に頚と肩を診たら、腕がおそらく適度な運動でストレス解消になった影響か、ほぼ問題がない。本人は、「山に2回も登ってしまって、激務は変わらない。かなり悪いはず。」と思い込んでいたが、実際は、「山に登って適度な筋肉痛で足と腕までほぐれてしまった。是非又登って欲しい。」と身体は言っている。本人の気持ちと身体の現状はこれだけ違うのである。これを伝えたら、「自分ではわからない。」と言っていた。これはとても良くあることで、よく来る社長に「今日はどうしました?」と聞くと、「ちょっと診て」と頼まれ、私が何と言うかを黙って聞いている。それを聞きながら、「思ったほど悪くない。」とか、「胃だったか・・・」などと一人言を言っている。結局、自分の身体のことは意外とわかっていないものである。このギャップは昔から埋まっていない。