城の石垣にナンバリング
数年前に熊本城の石垣が地震で崩壊した時に、「秀吉は小田原城を攻め落とした後、石垣にナンバリングをしていた」と患者さんから聞いた。専門家でないので真偽の程はわからないが、この話を聞きながら、「流石秀吉、壊れることを初めから想定していて、またすぐに作り直せる凄い知恵」と思った。これを我々の仕事に当てはめると、医者に突然病名を告げられた時に、「え、がん。想定していました。」「狭心症、なることは覚悟していました。」と言えることと等しいと思う。戦国の戦乱の世で秀吉が、「え、城が壊れた?予想していなかった。」とは言わないだろう。「何時壊れても大丈夫なように、またすぐに作り替えられるようにしておいた。」と言うのではないだろうか。人の人生、病気との関わりも同じである。よく患者さんの中には、「こんな事が起こるとは思わなかった。」と言う人が多いが、我々みたいに朝から晩まで、具合が悪い人と関わっていると、朝起きてから何事もなく1日が終わるというのは、ほぼ奇跡である。東日本大震災を思い出せばわかるとおり、あの1回の大津波で人生が簡単に変わってしまう。この石垣にナンバリングの知恵、我々の日々の生活に活かして、医者から何と言われても、「そうですか。予想していたので大丈夫です。」と言えれば、今まで以上に安心の日が過ごせることは間違いない。