胃腸総まとめ
当院のような鍼灸院で、胃腸に対してどの様なアプローチをしているか、ご存じない方が殆どだと思いますので、少し紹介させて頂きます。
まず胃ですが、症状のある方は内視鏡検査が基本です。それで問題がなければ我々がよくお話するのは、「按腹」「スタマックライン」「左の背中」です。
腸に関しては「按腹」「乳酸菌」「便秘対策」「食生活-フードチェック」「左坐骨神経痛」「太腿の裏」です。
まず「按腹」ですが、これはお腹のマッサージで、胃の反応点は「みぞおち」と「臍」の真ん中あたりがツボです。
胃の悪い人はそこを押さえると何とも言えない痛みや不快感を訴えます。
胃も筋肉で出来ていますので、悪くなれば硬くなり、そこに刺激を与えようと揉むわけです。
初めは軽く圧をかけますが、慣れた方ではかなり深いところ(背骨近く)まで刺激します。
次に「スタマックライン(胃の反応点)」ですが、これは胃のツボが左脚の太腿の外側から脛まで伸びています。
胃が悪くなると左の太腿の外側を押すととても痛がります。
本来、太腿は自覚が出ないところなので、あまりの右太腿との違いに驚く方が沢山います。
こういう胃の反応点は中国ではもう3000年も前にわかっていたことです。
次に「左の背中」ですが、これは「内臓体壁反射」と言って、胃の背中の反応点は左側に出ます。
右の背中と比べて硬ければ、「慢性胃炎」を疑います。
腸の「按腹」は胃と違うのは揉む場所で、「臍周辺」です。
次に「乳酸菌」ですが、中々その患者さんに合う乳酸菌を見つけるのに、何種類か試して戴きます。
場合によっては「発酵食品-味噌汁・甘酒・納豆・漬け物」との相性が良く、それで腸が整うこともあります。
次に「便秘対策」ですが、軽い方は按腹でお腹を揉んで改善します。次は「アロエ」を試し、それでもダメなら医者の薬や漢方薬と続きます。それでもだめなら浣腸です。以前に比べ、便秘薬は大分改善されていますので、専門医の指導で、かなり治せるようになりました。
次の「食生活-フードチェック」はBi-Digital O-Ring Testを使います。その方の身体が何を欲するかです。身体に合う物合わないものを一つずつ調べます。
次に「左坐骨神経痛」ですが、正確には「左腰の脇」に特異的に反応が出ます。我々は触った瞬間に、「腸がだめ」と言ってしまいますが、1番わかりやすいのは暑い夏に、患者さんが冷たいものばかりのみ、腸が冷えるとすぐに反応します。「先生最近、腰が痛いです。」と言われれば、「左でしょう」と聞くと、「そうなんです。どうしてわかるのですか?」と聞かれますが、「腸の反応は左しか出ません」と種明かしをします。
次に「太腿の裏」ですが、これは「下腹部の反応点」です。殆どは腸の反応が出ますが、女性の場合、膀胱や生理痛、冷え性などでも反応します。この「太腿の裏」の筋肉が硬くなってしまうと、坐骨神経痛が起こりやすくなってしまいます。
鍼灸は「腰や膝ばかり診る」と思われがちですが、少し病態が難しい方になると胃腸を診ずには治せません。
学生時代によく、「やがて胃腸も診れるようにならないと患者は治せない。胃腸が診れるようになれば一流。」と言われましたが、最近よくその意味を理解出来るようになりました。