効かないのは「足らないか」「間違っているか」
この業界、重鎮は多い。レジェンドと言われ一時代を築き、著書も売れて講演依頼も多い。しかし私もそうだが、段々難しい患者が来る。そうなると自分の技量不足で必死に勉強するが、それでも追いつかない。そういう場合自分の今まで積み上げたものを1度壊さないと新しいものが入ってこない。一昨年、脊柱管狭窄症を患い多くの先生にお世話になった。その中にPT(理学療法士)の先生がいて、あまりに講義内容が素晴らしいのですっかり虜になってしまった。昨日その先生の実技があり、技術を見ていると、我々の考え方とは全く違う。我々鍼灸・指圧は、「筋肉にどうアプローチして痛みを取るか」しか考えていないのに対して、PTは「関節をどうやっていい状態にするか」を語る。全くアプロート法が違う。昨日色々と教えて頂いたので、早速患者に試してみると、かなり成績が良い。「もしかしたら良いまでやっていた技術や考え方では、かなり見落としていたかもしれない」と感じ、やはり、効かないのは「足らないか」「間違っているか」と思ってしまう。長年の先生だと、自分の技術の延長線上でものを見たり考えたりするだろうが、そんな時はいっそのことガラガラポンして全て白紙にすると案外新しい道が見えてくる。我々の世界、「患者の痛みを取った方が勝ち」という暗黙の了解がある。効かないのは素直に認め、「間違っていたか」とすぐに専門の先生に教えを請う方が早く解決するのではないかと感じている。