先生が悪い
常連さんが妊娠した。7ヶ月なのに、体重が8kg増えて腰が痛いという。妊婦は「腰痛」か「足の浮腫」しか言わないから、定番かと思って調べたら、胃炎を見つけた。「あれ、食べすぎ?胃炎を起こしている。好きなだけ甘い物食べてるでしょう。甘い物は胃を壊すよ。」と言ったら、「私じゃないのです。この子です。」と言う。検診の時に赤ちゃんの重さを聞いたら700gだと言う。700gの子がそんなに食べられるわけがないので、「あなたはその子のせいにして、際限なく甘い物を食べてるでしょう?」と聞いたら、「はい」と言う。「腰が痛い原因は胃かも知れませんが、これは先生がいけないのです。痛くなっても先生が治しちゃうのが悪いのです。先生がいなければ控えるのに・・・」と理屈を言う。「え、こっちのせい?」しかしこれは一部の理がある。以前北海道の夕張市が財政破綻をして、市民病院が機能しなくなってしまった。救急車は呼んでも来ないから、住人はなるべく病気にならないように予防に気をつけたら、長寿町になってしまった。何時でも病院にかかれると思うとつい無理をしてしまう心理が人にはある。それ故にこの妊婦の言葉に反論が出来なかった。しかしどうせ食べすぎる度に、「この子、この子」というのは見えている。夕張に免じて今回は説教はなしにした。