まず手の痛みの治療に必要な事は?
今日来た方は「母指CM関節症」と言って、親指の付け根にある関節軟骨が加齢や女性ホルモンの減少、手の使い過ぎなどで痛む病気の方でした。
日常生活で「ジャムの蓋を開ける」「ドアノブを回す」「雑巾が絞れない」と言います。
我々から見ると腕は曲げ伸ばしの筋肉ばかりで、ジャムの蓋を開けたり捻るための筋肉は少なく、捻る動作はとても苦手なのです。
特に主婦の方は、「痛くてもご飯の支度があるし・・・」と中々安静に出来ません。
しかし身体は癖のもので、「痛みを出さない生活をしていると治まってくる」ものです。
手を使うなと言っているのではありません。少しでも手に痛みを感じたらやめなさいと言っているのです。
夕ご飯を作っていて痛みを感じたら、そこから店屋物にする(中々現実は難しいとは思いますが・・・)とか、料理を作るのをやめるぐらい手を労わっていただきたいと思います。
しかし、「そうは言っても・・・」と言われそうですが、それくらい手の痛みは過酷を嫌います。
手の神経は敏感なので、痛みを感じるのが当たり前になってしまうと、治癒が極端に遅くなります。
以前、腱鞘炎の痛みを手術なしで治してほしいと言われ、「では24時間氷で冷やし続けてください」と伝え、見事に治した方がいましたが、料理はどうしたのか聞いたら、「主人にやって貰った」、「夜中は?」「3時間おきに目覚ましをかけ冷やした」とあまりの徹底ぶりに感心してしまいました。
それくらい安静というのは大事で、急性期を逃してしまうといくらでも痛みは続きます。
治療にはゴールデンタイムがあるのです。
以前から「我慢弱い」話は何度もしていますが、皆様の基準は「生活」で我々の基準は「手の痛み」です。生活が基準だと、「ご飯の支度をしなければ」ですが、手の痛みが基準だと、「痛みを出してはいけない。痛みを感じたらすぐやめよう。」となります。
我々は治療家ですから、常に「身体の本音」が基準ですが、せめて急性期だけでも身体の要求を満たして頂きたいと思います。
そう考えると「まず手の痛みの治療に必要な事は?」の答えは、「身体の本音を知るために学ぶ事」と言えると思います。