治療はスーパーオートクチュールオーダーメイド
時々患者さんに、「靴屋さんには木型があり、洋服屋さんには型紙があるでしょう。靴や服を作ってもらう時にこの型は余り変わらないでしょう。しかし我々の仕事は『○○さんはいつも坐骨神経痛』と思ってやっていたら、必ず見落としが出てしまいます。目の前の患者さんはどうなっているか全くわからない。だからくまなく診よう。と思っていないとダメで先入観念だけで治療してしまうと大変な事になってしまいます。敢えて言えば、スーパーオートクチュールオーダーメイドです。もちろんこんな言葉があるわけではありませんが、それくらい治療は毎回特別仕様なのです。」という話をしている。
例えばいつも左坐骨神経痛の方の場合、「あなたは左坐骨神経痛よね」と決めつけてしまうと、坐骨神経痛以外に目が向かなくなるのです。「いつもの左坐骨神経痛はあるだろうけど、他もおかしくなっているかもしれない。新しい原因があるかもしれない。ゼロベースで調べてみよう。」という意識がとても大事です。
以前、胃炎を起こし、それが原因で毎回腰痛を訴えていた方の腰の筋肉の感じがいつもと違うのです。本人に「いつもの胃炎ありますよね?」と聞いたら、「え、まぁ」と言うのです。しかし胃の治療をしても一向に腰が楽にならない。おかしいと思って全身を調べたら、足の内転筋に異常を見つけたのです。内転筋の異常は本人も気がつかないし、こちらが何となくおかしいと思って気がついたから良かったですが、あのまま胃だけ治療をしていたら、腰は治らなかったでしょう。
このように治療にはちょっとしたところによく落とし穴が隠れています。
これを防ぐにはこちらが、治療は常にスーパーオートクチュールオーダーメイドでなければならないと肝に銘じなければなりません。