お腹を開けたら手は使っちゃだめ

常連さんがお腹の手術をした。今は昔と違って派手に開けない腹腔鏡手術だから、退院までの日数が短くてすむ。術後1ヶ月して、腰が痛いといって来たので、てっきり腹筋が弱ったせいで腰に痛みを感じているのだろうと想像したら、全く違った。痛がっているのは右腰で右腕のこりがひどい。普通退院後は、「100日はおとなしくしなさい」と指導しているが、この方は退院後2週間で、衣替えでかなり無理をしてしまった。本人にしてみたら、「お腹は切ったけど腕や肩は関係ない」と思っていたのであろう。しかし腕を使うときに背中や腹筋まで働かないと腕は使えないのである。まして衣替えとなると押し入れやタンスの上のものを取る場面もあり、どうしても踏ん張ってしまうだろう。それで右のお尻まで硬くなり、腰痛が起こってしまった。以前ブログで、「鍋を洗うと再発する鬱病」でも書いたが、腕を使うと肩や首がこり、頭に血が行きにくくなるので、鬱病が再発しやすくなるのである。今回も同じで、本人は早く回復させようとしたのだろうが、踏ん張って腕を使ったら、腰痛が簡単に起こり、お腹の傷口の回復を遅らせるのである。すぐに体力をつけたい気持ちとやっていることが真逆なのである。どんな手術でもまずは100日我慢してそれから徐々にやっていただきたい。患者は「手術してくれた先生はピラティスをやってもいい」と言ってくれたそうだが、我々リハビリから見ると、ピラティスをやっておかしくなって医者に行っても、「あまり無理をしないで」と言われるだけで、実際の治療は我々がする。体のどこを患っても常に全身への影響を考えないと、辛い症状は治まらない。それくらい体は協調運動をしているのである。