手術のおまけ

常連さんが不整脈で、アブレーションという治療を受けた。
アブレーションはあまり聞いたことがないだろうが、不整脈の治療で、足の付け根からカテーテルを入れ、その先端から高周波出して悪い部分の細胞を凝固壊死さてしまう治療である。
多少の再発率はあるものの、心房細動は1回のアブレーションで約80%の患者さんが治る。
その患者さんは心臓の働きが悪かったので、左首から体外式のペースメーカーを一時的に入れたという。
その後何故か、右首が楽だという。
これには少し返答に困ってしまった。
心臓の症状はよくみぞおちか左肩首に出る。
心臓が楽になり、左肩首が楽になるなら、「よかったですね。やはり心臓の影響があったのですね。」と言えるのだが、右首が楽になると、「そんな事があるのですね。人間の身体は不思議です。」て終わってしまう。
実際この仕事をしていると、「股関節の手術をしたら、膀胱炎を起こしにくくなった」とか、「指の痛みを治療してもらったら、肩まで楽になった」とか、手術後のおまけが色々とついてくるものである。
中々すべてちゃんと解説できないので時々悔しい思いをするが、実際はそんなものである。
おそらく担当してくれた先生に聞いても、「え、そうなの?首が楽なら、よかったじゃない」で終わり。
手術した先生もわからないのである。
こういう事は意外とよくあるので、こちらはもう慣れっこになってしまって驚かないが、患者さんの心にも「どうしてなのだろう」という気持ちは残るのだろうなぁといつも感じている。