ネットで検索しすぎて泥沼に
以前ブログで、「調べれば調べるだけ難病が出てくる」と書いた。これだけ情報が溢れていると、中々今の自分にふさわしい情報だけ取捨選択することが出来ない。
調べることに熱心になると病気の場合は必ず、難病が出てくる。
例えば咳をしたとする。「長引く咳」で検索すれば、「気管支炎」「間質性肺炎」「肺がん」と次から次へと難しい病気が出てくる。すると患者は1つ咳をしただけで、「肺がんかしら」と感じてしまう。確率的には咳をして肺がんの可能性はゼロではないが、すこし咳が長引いただけでいきなり肺がんと結びつけるのは、飛躍しすぎである。
しかし患者の頭の中は肺がんの不安で一杯になってしまう。そしてもっとネットで調べると、「○○研究所」が出てきて、「長引く咳に○○が有効、今なら月に2万円で健康が買える。定期購読がお得」と書いてある。実際の効果はわからないが、そうなると、月に2万円なら何とかなるかも・・・。やってみようかしら、それも定期購読で・・・」という心理になってしまうという。
わからないでもないが、そんな時は自分で考えないで、専門家に診て頂き、「先生、私肺がんですか?」と聞けば、ほとんどのケース、「最近の流行の風邪です」で終わってしまう。熱心に調べるのは結構なことだが、やはり医学には独特の考え方と感覚がある。当院の常連さんなどは、私がしょっちゅうそんな話をしているので、かなり詳しい。判断するには経験はかかせないが、情報収集にのめり込んだときは一度頭を冷やし、余計な情報ではなく、必要なものだけ入れて、専門家に聞くと、「そこまで考えなくてもいいんじゃない」とか、「飛躍しすぎ」「そんな話聞いたことがない」など意外な答えが返ってくると思う。何事も程々に「狭く深く」から「広く浅い」目を持つことが大切である。