どうして膝が変形していなくても痛がるのでしょうか?
以前から、「骨の変形は悪者?」と言っている。ある程度の年齢になり何処か関節が痛む場合、病院でレントゲンを撮り医者から、「こんなに変形している。これが痛む原因です。」と言われた患者も多いと思う。この話を聞くと、「変形=痛み」と考えやすいが、我々リハの眼から見たら、変形は「必要悪」であって、それだけで痛みの原因にはならないケースが多い。腰でも首でも年をとると筋力低下により、骨が接地面積を増やすために変形する。これ自体は生理的な変化なので、これだけで痛みを出すという事は少ない。骨の変形が痛みを出しているというより、周辺の軟部組織(腱、筋肉、膜、脂肪など)に痛みの原因が多く存在する。膝などはいい例で、レントゲン上での骨の変形と痛みはあまり一致しない。骨自体に神経はなく、骨を包んでいる骨膜には神経がある。骨が折れても痛がらない方は多いし、骨が何ともなくても周辺の軟部組織の炎症で強い痛みを訴える方は多い。ここがわかると、膝痛でかなり変形していても痛みの治療は可能だし、手術で骨を人工関節に交換しても、痛がるケースが後を絶たない。患者心理として変形したレントゲンを見せられ、医者から「こんなに変形が進んでいます」と言われれば、納得してしまうだろうが、骨だけが原因でないことは覚えておいてほしい。そんな時は、「骨の変形以外に痛みを原因はないのですか?」と聞けば、「レントゲンに映らないからわからない」と答えるだろう。いずれにしても変形したレントゲンを見て、落ち込む必要はない。長年仕事をしていて、「こんなに変形しているのに本当に痛くないの?」と言ってしまう患者は多い。変形も行くところまで行ってしまうと痛みを出さなくなるものである。