大所高所から物を見る

長年治療をしていると難しい患者さんが増える。膠原病とかがんとか、耳鳴りとかどれを取っても一筋縄ではいかない。最近はネットを使って相当詳しい知識を得ることが出来るので、勉強してくる患者さんも多い。「先生、あの論文読んでいないのですか・・・・。」と時々は言われてしまう。そんな状況で患者さんは自分の病気だけ調べるから、どんどん知識が深くなる。英語の論文とか読める方なら、その知識量にはこちらがビックリしてしまう。色々と教わることも多い。しかし時々深く知りすぎて怖い判断をすることがある。例えばがんにキノコが良いという話になり、キノコを極めていくと「何処何処産の○○菌の多いキノコが1番良い。」「その健康食品は中国産の○○と7:3の比率で使わないと効かない。」とかどんどん細かい話になって、段々重箱の隅を突き出す。治療法を追求すること自体は良いことなのだが、狭い視野になり、大局からの視点がなくなることがある。一つの健康食品を追いすぎてそれだけで何とかしようと思い、実は腸の具合が悪かったり、歯周病を見落としていたり、鼻炎に気がつかなかったりする。「鼻」「歯」「腸」でも書いたが、身体は全身の免疫状態の上に成り立っている。何処か1箇所を突いてもダメである。やはり大所高所から物を見る目が大事である。