40代男子の過食が止まらない

40代男子の方に何人も過食を注意している。なぜ過食が止まらないか考えてみた。まず学生時代はまだ成長期だからある程度過食をしても太らない。社会に出て必死に仕事を覚えようとすると、あっという間に30代になってしまう。30代は本当に勉強の必要な時期だから、男の38才説までは幅広く深く学んで少しは仕事が形になってくる。それが40代になると会社の中でも少し偉くなり、子供も大きくなり、時間とお金に多少のゆとりが出来る。接待やお客様との会食も増え、学生時代では考えられないような食生活が始まる。若い頃は居酒屋に行くのが夢だったのが、週に3-4回は行くようになる。美味しいものも覚え、ワインも数千円のものも飲める。何とも言えない幸福感にみたされる。「俺も満更ではない。中々良い所まで来た。」こうなると美食が始まる。以前中古車会社の社長が、「車は麻薬みたいな所がある。初めは安い車に乗るが、段々上を目指す。やがて豪華な車しか買わなくなる。初めに車を買わせてしまえば麻薬を打ったようなものである。」話を聞いて確かにそういう一面はあると思った。美食も同じである。プロの料理人が知恵と技術でお客様をもてなすわけだから、はまらないわけがない。色々な患者さんを診ていると、40代途中で過食を止めた方は殆ど病気をした後である。私自身、父が42才で糖尿病になったので、気をつけていたがやはり同じような年齢の時に中性脂肪はどんどん上がってきた。この仕事をしていなければ糖尿病になっていたと思う。過食している方に病気をしなさいとは言わないが、本当に40代男子の過食を止めるのは難しい。