木を見て森も見る
現代医学は細分化しすぎていて、「木を見て森を見ず」とよく言われる。
先日も日本病巣疾患研究会、EAT(Bスポット療法)の学会で、堀田理事長が「うちは木を見て森も見る」と挨拶され、「病気の所だけ見ても原因がない。身体全体を診ないと答えが出ない」と力説されていだが、実に同感である。
堀田理事長は本来、腎内(腎臓内科)の医者だが、腎臓を治すのに鼻の治療は必須と言っていて、泌尿器学会で「泌尿器の医者が何が鼻だぁ。そんなのは耳鼻科に任せればいい。」とさんざんバカにされた。
IgA腎症という難病があるのだが、今までの治療だと20-30%しか治らないのに、堀田先生が扁摘(扁桃性摘出)をして、パルス療法(ステロイドを使う事)を行うと80%治り、今ではIgA腎症の標準治療になってしまった。そこまで来るのに20年かかり、初めからIgA腎症の原因を鼻炎と見抜いていた。
今回たまたま講演会を頼まれ、色々と資料を作っていくうちに、益々この感覚が強くなった。当院の常連さんは良く知っている事だが、下記は講演内容の一部である。
首を治すのに顎関節は外せない
咳を治すのに痔があったら良くならない
普段の何気ない生活の何かが免疫を下げるものが沢山ある
膝痛なのに胃薬使う
腰が痛ければお腹を揉め
がんになって玄米や野菜ジュースが身体に良いの?
この内容は全て、木だけ見て森を見ないと治せないものばかりである。
首が痛くて歯医者に行きますか?
咳が止まらなくて肛門科に行きますか?
膝痛で胃薬を飲みますか?
がんで玄米食や野菜ジュースを飲んでいる人にダメと言えますか?
病気は複雑になればなるだけ、身体の色々な所とネットワークを持つ。
私自身、ネットワーク論と言っているが、良くならない症状をお持ちの場合は、「これだけやって良くならないのは、他の場所から悪い影響がきている?」と考え、専門家に相談すると意外と簡単に答えが出る。
色々な学会に参加していると、「ではここからは深掘り」と必ず言っているが、是非、「ここからは鳥瞰図、高い視点から広く浅く見ます」と言ってくれないかぁといつも思ってしまう。