なぜ昔話をするのか

Bi-Digital O-Ring Testを勉強してから、物忘れの患者さんがよく来る。
必ず言われることは、「昔のことは昨日のように覚えているのに、最近のことが覚えられない。人の顔はわかるのだが名前が出てこない。」
殆ど皆さんの症状は同じようだ。
脳は長期記憶と短期記憶では違う場所が働く。
長期記憶は大脳皮質で短期記憶は海馬である。
この海馬は繊細で酸欠やストレスに弱くやられやすい。
人の顔と名前も記憶の場所が違う。
顔がわかって名前が出てこないのも同じ理由である。
しかしなぜ、昔の記憶が出てくるのか考えてみた。
これは仮説だが、年をとると昔の話しが出てくる。
脳の中にはその当時の免疫の仕組みや感染と闘った情報が残っている。
年を取って免疫が弱くなると昔元気だった頃の情報を取りだして、当時の強い免疫のシステムを蘇らせようとしているのではないだろうか。
その証拠には昔話をするとどんどん顔が赤くなり、興奮して、お話しがつきない。
脳が活性化している証拠である。
仲間との食事やお酒も美味しい。
胃腸機能が良いわけだ。
脳が活性化して胃腸がよければ免疫はいい状態のはずである。
病気には闘いやすい。
これはある女優さんに聞いた話だが、舞台で泣く場面はどうするかというと過去の辛かったことを思い出し、その時に完全に同調すると泣けるという。
脳の中にその時の状態を再現する力があるわけである。
もしこれが正しければ、いままでの人生で一番免疫の高かった時を思い出せば治療になる。
思い出すときに五感を使うともっと効果的である。
懐かしい香りを嗅いだだけで昔を思い出す。
景色も同じ効果がある。
やがて五感治療院を作ってみたいと思っているのだが、治療室に入った途端、昔の香りと景色がある。
音楽もその当時のもの。
パジャマや布団まで当時のもの。
脳がその時代に戻って良い状態を再現してから治療をする。
考えただけで何でも治りそうな気持ちになってくる。
どこまでできるかわからないが、考えただけで夢心地である。

 

image_print印刷する