パソコン病

原因は腕のこり picture_ude_massage
首のつらさの原因はほとんどが腕のこりです。腕はストレスか使い過ぎ以外にこりません。最悪なのは仕事でのストレス、長時間のパソコン作業、いつも重い鞄 を持つ・・などが重なる事です。腕は酷くなっても自覚が出ない場合が多いのです。腕の辛さを訴えてくる方は殆どいません。腕のこりが肩甲骨の動きを悪く し、首のこりの原因になるのです。いくら首が辛いといっても、首だけを揉んでも治りません。首や肩の辛さの原因はそこにはない。腕の使い過ぎ、マウスのク リック過多で起こるので、改善には腕の治療をしなければならない。約十年前にパソコン病の原 因を突き止めた。マウスクリック動作は人類の歴史でないことで、腕の筋肉にはその動作を支える構造はない。肩首が辛くなるのは腕の炎症の反射作用だ。 それに気が付いてからは腕を重点治療して成果がある。対策としてはマウスを親指中心のタイプに変える、反対側の腕を使えるようにする、そして定期的な治 療。長時間のパソコン作業やストレスで腕は非常にこるが、自覚は出にくい。自覚が出た時点でかなり深刻。普通に腕を揉んで軽くなれば良いが、重症になると 以下 のように治療します。「鍼を伸筋と屈筋に」「鎖骨治療」「肩甲骨治療」「腕神経治療」1つずつは説明しにくいのだが、普通に揉んでダメな場合でも治療法は あります。

腕と心の関係
ストレスによって末端にこりが出るという事は言ってきたが、重い荷物を持つなどで腕がこると、ストレスがかかった時に心にも余裕がなくってしまい、短絡的 な発想しか出せなくなる。多くの物事は灰色なので、経営者や社長などは心にゆとりがないと我慢や熟考や時を待つなどができなくなる。そのような時に腕が こっていると、ストレスに負けてトップとして成り立たなくなる。多くの経営者の腕を診ていると、パソコンや荷物は持ってもらいたくない。昔はよく鞄持ちと 言っていたが、腕が疲れていては成り立たないことを知っていたのではないかと思う。いくつか対策はある。まず発汗だが、これだけでは足りない。そこでみみず腫れになるくらいの乾布摩擦。手のひら側の腕だけでも良いので、やや粗めのタオル でゴシゴシ擦ってほしい。そうすると楽になり、難しいことや複雑な事も考えられるようになる。

右腕から左肩痛
悪い状態の右腕を放置していると、やがて左肩が痛む。右腕がおかしくて右肩というのは理解できると思いますが、この右腕から左肩というパターンは多い。し かしそれは説明しないと理解しもらえない。パソコンのやり過ぎなどで右腕を酷使すると当然右肩はおかしくなる。それが毎日長時間で休む間もない作業が続く と、右だけにではなく左肩にも悪影響が及びます。右肩が慢性になっていると、多少調子が悪くても文句をあまり言わないが、左肩の立場からすると良い迷惑で す。初めは我慢しいますが、どんどん右肩から悪さが伝わってくると、限界に達した時に怒り出すのです。「これまで大人しくしていたが、もう我慢できん!」 そのように左肩に痛みが出ます。よって治療は右腕に重点を置き、残りは右肩を少ししてあげれば、左肩をいじるまでもないのです。パソコン病はマウス病とも 言えるので、右手でクリックを多用していると右腕がやられる。しかし左の方が酷いという方。もちろん使うマウスは右手で使うタイ プだ。診てみると不眠によって心臓の反応が出て、過食によって胃酸の反応、糖分過剰摂取によって膵臓の反応。心臓・胃・膵臓は全て背中の左側に反応が現れ る。そうすると当然、左の肩甲骨の動きが悪くなるのだが、この方の場合は右腕の疲れが溢れた分は左側にも出ていた。これだけ悪条件が重なると、マウスでも 左腕が酷くなる事がある。この方は最近体重が増えて、一日中座ったままでパソコン作業。本来はまずは減量と言いたいが、不眠なので朝早くに目が覚めてし まった時、食べると寝られるという事なのでなかなか難しいという。

痛みのコントラスト
左首が痛いと来た方。調べると右腕の使い過ぎ。慣れないパソコン作業のせいだとわかり、腕の治療だけで楽になって本人はびっくり。しきりに理由がわからな いと言っていた。何度も説明したのだが、どうして左首を治療しなくて良いのかと何度も訊かれた。その後退職しパート勤務となり、パソコン作業はないそう だ。本人は楽になると思っていたら、今度は右の肩が痛い。それもかなりつらいという。調べてみたら右腕や左肩のこりはない。右肩だけにこりがある。これを みて理由がわかった。これまでの左首痛は右腕と右肩が両方やられていたのだが、仕事が変わって楽になり、パソコン作業は無く、右腕と左肩は良くなった。残 るのはパソコン作業をやり続けていた名残の右肩。3箇所悪いと目立たないものが、1箇所になってしまってコントラストがつき、そこばかり感じる。やはり本 人あまり納得がいかない。黒っぽい服での汚れは目立たないが、真っ白な服だと1点の黒い染みは目立つという話。治療方法は2パターン。3箇所こらせるか、 1箇所を取り除くかである。もちろん、右肩の治療を予約された。

逆効果
よくたくさん腕を使うと認知症になりにくい言われているが、疑問に思っている。理由は腕の酷使による肩こりや首の歪みから起こる頭の血流障害が考えられる からである。その原理はパソコン病と同じで、趣味などで腕を酷使しても、それが脳に良いと思い込んでいると逆効果だ。何事もほどほど、腕は自覚症状が出に くい場所なので注意しなければならない。編み物やピアノ、パッチワーク、彫刻・・・腕を使い過ぎる趣味は考えものである。酷い慢性の肩こりがあれば、まず は専門家に診てもらって、腕の状態を確認した方が良い。腕が悪いと決して脳のプラスにはならないとも覚えておいて欲しい。

冷やす
腕の治療で冷やす場合。冷やし方にはコツがある。就寝時でもいいので、ビニール袋に氷を数個入れて冷やしてほしい。溶けるのに1~2時間くらいかかるの で、刺激として丁度良い。そんな話をすると必ず工夫する方がいて、氷袋に塩を混ぜたりする方がいるが、そのような事はせずに言われた通りにやっていただき たい。職場での氷使用は難しいだろうから、冷湿布でいい。当院の推奨は冷感パテックスだが、ずっと貼っているうちに皮膚がかぶれてしまう。そのような場合 は薬剤面のセロハンを取らずに貼っておいても良い。固定用のネットが薬局で売っているので、セロハンを剥がさなくても大丈夫。湿布は1時間おきに取り替え ていただきたい。貼り替える時に、湿布がまた冷たくて気持ちが良いはずだ。患部はそれくらい熱を持っているのだ。患者さん自身が思うより患部は冷やさなけ ればならない。これがコツである。

古傷がある場合
パソコン病によって橈骨神経麻痺を起こし右手が垂れ下がってしまった方がいた。治療はできたが、やはり弱い。東プレ製の特殊なキーボードを使ってもらって 凌ごうとしたが、最近また忙しくなって胸まで痛みが出たという。調べるとマウスは左手で使うようにしたので、右手の負担はとても少ない。だが右腕が硬い。 右手を使っていないのに、なぜこうなのかという疑問があるようだったので説明した。我々が想像する以上に、古傷というのは極端に弱い場所である。以前に右 手を痛めたので、左手6割、右手4割程度の負担ならば良いと考えるだろうが、それが違う。結論は右手1割、左手9割である。このくらい古傷というものは弱 い場所なのだ。このような極端な感覚を普通の方は持っていない。だからまた同じように痛める。一度傷付くと、そんなに強くはなれない。人の心と同じだ。

 

image_print印刷する