お見舞いについて

知り合いが入院すればお見舞いに行きたくなるのが人情だ。この仕事を長くやっていると時々、素晴らしい話を聞く。2つほど紹介したい。
初めにある方がお見舞いのために病院まで行ったが、患者には合わずに看護婦にお見舞いの品を届けてくれと頼んだという。この配慮には感動した。たとえ女性でなくても入院中は髪はぼさぼさだし、時には痛みをこらえて笑顔も作れない、風呂も毎日は入れないから出来れば人に会いたくないのが患者の本音である。全く見舞いが来ないのも寂しが、日に10人も見舞いに来られたら、見舞う方は患者から初めて病状を聞くが、しゃべる患者は同じ話を10回しなくてはならない。テープレコーダーに吹き込んで見舞ってくれた人にボタンを押してくれと言いたくなる。なかなか日本では見舞う患者の都合はあまり考えないから、患者側も準備が出来ていればいいが、見舞う方は自分の都合で行くから難しい。次は有名な方になると花とメロンは本当に困るという話を聞いた。皆さんが決まって花とメロンを持ってくるという。患者もメロンばかり毎日は食べないから殆ど腐ってしまったという。メロンを頂けばお返しも考えなくてはならない。花も置く場所に困るという。病室から搬送するだけでも手間である。そんな中で気のきいたお見舞いは、看病している家族のためにおにぎりだったりする。看病で疲れている家族が夕飯を作らなくてもいいように、またお返しも気を使わせない程度のもの。この話も成る程と思った。人様に対しての配慮はきりがないがまだまだ自分が未熟だと痛感した。

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