子供不良理論

腰痛でも肩こりでもなかなか治らない場合はそこに原因がありません。気持ちとしては腰が痛いときに揉んでもらいたいと思うのはわかりますが、軽い腰痛でしたらいいですが、当院におみえになる方の場合、腰だけ治療してうまくいくケースなど殆どありません。皆とばっちり腰痛です。足が悪くて腰に痛みを感じるとか、お腹の調子が悪くてその痛みが腰に出るとか、生理痛で腰が痛いとか、便秘で腰に響くとか・・・。ほとんど腰は被害者でこちらからみると気の毒で仕方ありません。ですからそれを証明するために足だけ治療して腰がどう変化するかをみせます。「あれ、足しかいじっていないのに腰が楽。不思議だ。」「お腹を押さえただけなのに、腰が痛くない。」皆様の感想はそれぞれですが、こうしてお見せするのが一番早いので、私など腰痛の患者さんの腰を初診で触ることは殆どありません。それぐらい皆様に腰は被害者で困っているということを知って戴きたいのです。 これを説明するために色々と考えて、「子供不良理論」を思いつきました。例えばお父さんが病気になった場合、ほとんどのご家庭ではお母さんが外に働きに出る。子供はお母さんが家にいるときは、「ただいま」と言って、「お帰りなさい」と言ってもらえるので安心する。ところがお母さんが外に働きに出ると、「ただいま」と言っても誰もいないので、また外に行って不良になっちゃう。もちろん極論ですが、満たされない子供の心の原因はお父さんの病気です。だから現象で見えている不良の子供に、「どうしてお母さんが外で頑張っているのに不良になるの?」と言っても心が満たされないので、いくら子供を責めても答えがないわけです。解決法はお父さんの病気を治すか、お母さんが家で働けるようにするかです。表面に見えている子供の不良とは違うところに原因があります。腰痛も一緒で足のバランスが悪いので、腰がそれを表現しているだけで被害者なのです。ですから腰の気持ちになって、「君が悪いんじゃない。足が悪いからその影響で痛みを出しているだけよね。」と言って治療してあげれば、腰はわかってもらえたと痛みを出さなくなるわけです。いくら腰をつついても答えはありません。不良の子供と一緒です。身体の中のこういう関係がわかってくるとても治療効果が上がり、時には意外な原因に唸ってしまいます。こういう事が絡んでいたか・・・。そこまでは気がつかなかった。こんな体験をすると神様のお作りになられた人間の身体が、面白くて仕方なくなってしまいます。気分はシャーロック・ホームズ。なかなか治療効果の上がらない方々、隠れ原因が必ずあります。人間の身体、原因と結果はきわめてシンプルです。

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