病気はいくつあっても同じ

前回、「意外な患者の反応」ということで書いたら反響があった。
賛成の意見やあり得ないといった意見など様々だが、もう一つ患者さんから教えてもらったことを書いてみたい。
それは、「病気はいくつあっても同じ」という考え方だ。
それを教えてくれた方は確か4つぐらい病気があって、色々と指導を戴いていたが、あまり真剣に医者の話を聞いていない。
理由は、「人間は複数の病気で死ねない。死ぬ病気は一つ。だから死なない病気は不自由だが気に病むことはない。」という考え方だ。
これにも驚いた。
だから一つ一つの病気で気に病んでいても死なないのだから、気にする必要はないと言いたいのであろう。
確かにそういう考え方もあるかもしれない。
我々職業柄、あれもこれも悪いというが、確かに複数の病気では死ねない。
がんがあっても寿命が先なら老衰である。
膝が痛くてもひどい腰痛でも大抵は死ぬ病気ではない。
ただ不自由なだけだ。
何となく言われると納得してしまう。

では怖い病気は何であろうか。
一部の特殊な病気を除けば、血管が一番怖い。
脳でも心臓でも一発で逝ってしまう可能性がある。
がんは現在、日本人の1/2が患い1/3が亡くなる。
若い方の肺がんやスキルスでなければ時間はある。
そうなると血管の病気に気を配らなければならない。
当然、高血圧が怖い。
家系的にも食生活もリスクの高い方が一番怖い。

この点を押さえると、あとの病気は何となくやさしく見えてくるから不思議だ。
年をとると曜日毎に医者通いになるが、死に直結する病気のポイントをはずさなければ、あとは不自由を快適にする治療が殆どである。
複数の病気を抱えている方も、この考え方で少し楽になるのではないだろうか。

image_print印刷する