水野南北について

最近は食事療法に関して色々と調べているが、興味深い話があるので披露したい。
水野南北という方は江戸時代中期の観相学の大家である。

水野南北の先祖は遠く人皇三十代敏達天皇にさかのぼり、その家系である小野家からは小野篁、小野道風、小野小町などが出ている。小野妹子から数えて六十七代目が小野文章で、水野南北の父である。南北の代に水野姓に変り、名は勝三郎忠良。
水野南北は、大坂阿波座(大阪市西区)に生まれたが、幼くして両親を亡くし鍛冶屋をしていた叔父「弥助」夫婦に育てられる。
子供の頃(10歳)より盗み酒を覚え、酒代に窮して叔父の稼ぎ集めた虎の子を持ち逃げし、天満(大阪市北区)で酒と博打と喧嘩に明け暮れ家業の鍛冶職鍵錠前造りから「鍵屋熊太」と呼ばれる無頼の徒となった。
刃傷沙汰を繰り返し、 18歳頃、酒代欲しさに悪事をはたらき、天満の牢屋に入れられる。
牢内で人相と人の運命に相関関係があることに気づき観相に関心を持つようになる。
出牢後、人相見から顔に死相が出ていると言われ、運命転換のため、慈雲山瑞竜寺(鉄眼寺)に出家を願い出たところ、「半年間、麦と大豆だけの食事が続けられたら弟子にする」といわれ、堂島川で川仲仕をしながら言われた通り麦と大豆だけの食事を続けたところ、顔から死相が消えたばかりでなく、運勢が改善してしまった。
こうした体験から観相学に興味を持ち、髪結い床の見習い3年、湯屋の三助業3年、火葬場の隠亡焼き3年と徹底した観相の研究を実施して観相学の蘊奥を究め南北相法を完成し、節食が運勢を改善することを唱えた。

<ポイントのみ列記>

1 運命の吉凶は食で決まる
2 粗食の者は貧相でも幸運をつかむ
3 粗食でもときに大食すれば大凶
4 食事時間が不規則な者は吉相でも凶
5 食事量が一定していれば心身健全
6 美食をつづけると消化器系の病気になる
7 子なき相でも食を慎しめば跡つぎを得る
8 小食の者には死苦や長病がない
9 肉体労働者は大食をしてもよい
10 人格は飲食の慎しみによって決まる
11 厄年に難を避ける法
12 高齢者の肉食は害が少ない
13 子供の貧相・悪相は親の責任
14 家運が尽きていても減食で再興できる
15 吉相でも碁・将棋を好む者は出世しない
16 築山・泉水のある家は衰運に向う

1 陰の男は大陰の妻をもとめる
2 万善万悪みな食を本(もと)とする
3 神官が貧しく僧侶が裕福なのはなぜ?
4 遊興放蕩も食を慎しめば許される
5 神への祈りをかなえる法
6 自分の食べる分を施すのが真の陰徳
7 身分の低い者が身分の高い者と親しくすると…
8 人相だけを論じてもあてにならなし
9 一粒を惜しむ者は一飯を余分に食す
10 食物を粗末にする者は成仏しない
11 相法の秘密は法華経にある

1 毎朝昇る太陽を拝む長寿法
2 食欲がなければ食べるな
3 現世に食を慎しめば来世に果報を得る
4 食器の大小は身のほどに応じてきめる
5 精神を治めるために食を慎しむ仏法
6 貧乏人は金持ちの趣味をまねるな
7 夜なべは大凶、朝寝坊は貧窮短命
8 女性が吉相を自覚すれば凶相と変る
9 慎しみを守っていても天からためされることがある
10 衣・住も過ぎたるは凶
11 太陽の運行と不可分の運勢
12 朝早く起きればなぜ運がよくなるか
13 倹約は吉だが吝薔(けち)は凶
14 食を慎しめば気が開け、気が開けば運が開く
15 学ばなくて知る者、学んで知らぬ者
16 善人短命・悪人長命の理由
17 才気煥発の子を育てる心得
18 生命は不生不滅、無始無終である
19 人体を堅める塩の徳

色々と感じる所もあるのではないだろうか。

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