これはN響(NHK交響楽団)の方から聞いた話だが、指揮者の岩城宏之先生が職業病である頸椎後縦靭帯骨化症を患った。
たまたま私もテレビを見ていて、こんなにすごい首のコルセットがあるのかという装具を着けながら、指揮棒を振っていた。
その後も続けざまに3ヶ所ぐらいがんを患った。
後縦靭帯骨化症だけでも難病なのに、がんを患っても必ず復活して指揮をしていた。
ある時、楽団員の方が先生とのお酒の席で、
「先生、これだけのお病気をされて大変ですね。」
と言ったら、先生は
「何が・・・。病気、だからどうした!!」
これで終わってしまったという。
岩城先生にとって、自分が人生をかけ、音楽を極めていく中でこの病気は何ら関係がないということであろう。
ここまで音楽に打ち込まれた情熱と実績が物語っている。
さすがの楽団員もこの反応には、世の中にこんなにポジティブな方がいるのかと驚いたという。
全ての方がこの生き方が出来るわけではないが、聞いた当時はとても新鮮な気持ちになった。
こういう生き方もあるんだ。
病気に対して不安を持っていない人はいないが、例え難病が連続して起こっても、過去にこういう生き方をした方がいたというのは励みになる。
私自身、この生き方に憧れて実践しているが、最近は風邪とぎっくり腰の時だけ、「病気、だからどうした!!」とすこし言えるようになってきた。