仕事柄、「私の骨盤はずれていませんか?」とはよく聞かれる。
昔だったら正直に、何処何処がどうでここがこうなっていると馬鹿丁寧に答えていたが、最近は「骨盤も人生も曲がっている。」と答えることにしている。
これはある時、お花の先生の写真集を見ていたら、虫食いの葉っぱが生けてあった。
これは何かの間違いだろうと思って、先生に聞いたら、
「ただ美しい花ばかりでは面白くない。人は年をとると人生が虫食いみたいになって、それを生けると面白い。」
これには唸ってしまった。
その先生はよく枯れた花も生けられる。
人生は良いときばかりでなく、時にはしおれ、時には曲がり、やがて枯れる運命である。
どうしてもお花の世界はきれい事のように感じていたので、この話を伺ったときの感動はいまでも心に残っている。
それからヒントを頂いて、背骨も真っ直ぐ、骨盤も真っ直ぐ、人生も真っ直ぐなんて方はいないので、そう答えるようにしている。
大体、治療を求めに来ているわけだから、何処かおかしいわけである。
うちに来て絶好調という方はいない。
では何故、骨盤のゆがみを気にするのだろうか。
それはゆがんでいると問題があると皆さんが思っているからである。
我々から診ると多少ゆがんでいても痛みがなかったり、機能していれば問題はない。
真っ直ぐなら機能するかというとそうとも限らない。
大事なことは痛くなく機能しているかどうかである。
それを満たしていれば多少のゆがみなど気にする必要はない。
ここまで解説すると患者さんは納得してくれる。
骨盤も人生も曲がって多いに結構である。
曲がったりゆがんだりしていることを悩むより、痛くなくちゃんと機能していることを喜んで欲しい。