昔父親がよく、「もう少しで親父の死んだ年だ。越えられる方なぁ?」と言っていた。次にその年を越えると、「親父の死んだ年を越えられた。」、「もう少しで5年になる。」とか言っていた。どうもこの感覚は男性特有みたいだ。患者さんを治療していて、女性からこの言葉を聞いたことがない。息子が父親にたいしての対抗意識なのか、競争意識なのかわからないが、無意識下で親の没年齢を気にしている。私も60才が近づき、すこしだけこの気持ちが分かる。親の病気と没年齢を意識しながら生きている。年をとる毎に親の存在が大きく自分の人生に関わっていることを知らされる。「お前も俺の年になれば分かる。」とよく言われてきたが、本当にその通りである。